神奈川県・箱根湯元温泉【箱根 花紋】こんなところに竜宮城があったのか!還暦祝いは箱根にCome on!

箱根温泉 花紋
総合評価
( 5 )
メリット
  • 貸切風呂がある
  • 記念日にオススメ

“還暦祝い”って何をすれば喜んでもらえるのだろう。家族で集まり、赤飯買ってきて食事する?それともどこか食事に行く?たまにはゆっくり温泉に浸かりに行くのも喜んでもらえそうだ。

一生に一度の還暦くらい、盛大にお祝いをして喜んでもらいたい。っと思っている事でしょう。そんな貴方にとっておきの場所を紹介させていただきます。

場所は神奈川県足柄下郡箱根町湯本435【箱根 花紋】もしかしたら箱根Come on!と掛けているのかもしれない。箱根湯本駅から徒歩15分くらいの場所にあるので、ブラブラ散歩がてら歩いて行けるし、勿論、駅まで送迎もしてくれるので、足の不自由な方にも安心して利用してもらえる。

国道1号線を都心から箱根湯本駅に向かって進んでいくと、湯本駅手前の左手側に湯本大橋という大きな橋があるので左折する。橋を渡り、そのまま道なりに住宅地を抜けていくと、左手側に【箱根 花紋】が見える。

外観は豊臣秀吉の建てた一夜城を思わせる造りで、正直(なんかここに泊まるの恥ずかしいな)と思ってしまった。入口前には車を停めて荷物を下ろせるスペースがないので、手前2階建ての立体駐車場に車を停めてから入館するタイプの宿だ。

ここで駐車するときに注意してもらいたいのは、各スペースにワンちゃんやネコちゃんが寝そべっているが、それは輪止めなので「こんなんかわいそうでとめられない〜」などと思わず気にせず停めちゃって大丈夫だ。

荷物を下ろし“えっちらおっちら”言いながら入館すると、スタッフの方々が荷物を受け取ってくれ、キャリーケースのタイヤを入念に拭いてくれる。

館内は土足厳禁なのでエントランスで靴を脱いで上がる。だからあんなに入念にタイヤを拭いているって事か。

靴を脱ぎ、しばらくその場に立っていたが、スリッパが出てくる様子が無い。辺りを見回してもスリッパがないので、素足で過ごすタイプの宿だと理解した。それは同時に、この日の為に気張って300円も出した靴下を捨てる事を意味をしていた。

受付をする為にラウンジで待っていると、女性スタッフが籠の中に、綺麗に並ばれた足袋とアメニティグッズをテーブルに置いた。その中から好きな物を選んでほしいと言われたので、和柄のカワイイ巾着を手に取ると、女性スタッフは申し訳なさそうな顔で“巾着は女性用”だと説明した。

こちらも女性には手厚いサービスをする宿なのね。不満が漏れそうになったが、口をスネ夫のように尖らせ、青い巾着と青い足袋を手に取った。

他に女性客には浴衣や帯も選べるので、選びたがりの女性には嬉しいサービスだろう。

男性用の青い巾着の中身は、歯ブラシ、髭剃り、櫛、ポケットティッシュが入っていた。

ポケットティッシュを入れる心遣いは、地味に嬉しい。その後、スタッフが透明のシャンパングラスに入ったドリンクを運んで来た。グラスには専用の蓋が付いており、これは埃が入らない為の考慮だと感じた。

潔癖症の方には嬉しい心遣いだろう。中身は自家製の梅ジュースだと言うので、蓋を開け、まずは香りを楽しむ。梅の甘酸っぱい香りが冷気と共にすぅぅと鼻に入る。グラスの中のハート型の氷がぷかぷか浮かび、グラスに当たると“チリン“と風鈴の音を立てた。

粋な演出に頬が緩んでしまう。グビッと一気に飲み干すと、口の中で梅の爽やかが広がり、あと6杯飲みたい気持ちになる。この頃から徐々に宿への不安感は薄れていった。

スタッフが部屋へ案内する。畳が敷かれた小さめのエレベーターに乗り、3階の301号室(特別室 花の庄)へ入室する。

L字型の造りの部屋は13畳の畳と6畳の上段の間となっている。きちんと清掃されている部屋には、加湿器、空気清浄機、エアコン、ドライヤー、マッサージチェア等の最新式の家電製品が用意されていた。これは男心を擽られる。

最新家電という技術の塊は、よく分からない機能とか不必要な装備があればあるほど興奮してしまう。よし、あとでいじくり回してやる事にしよう。ひとまず部屋の説明を受ける為に座椅子に腰を下ろす。

おっふ。座り心地が良い。

少し固めの座布団にお尻が喜んでいる。こんな素敵な座椅子はどこで売っているんだ?ニトリか?スタッフが部屋の説明に入る。まず、部屋の端にある小型冷蔵庫を開いて見せた。

中には瓶ビールやハイボール、ジュースに水やお茶、ゼリーがそれぞれ2本ずつ入っている。

冷蔵庫の中の物は全て無料ですのでどうぞ

何を?正気か!?え?これが全部無料だと?ハイボールと瓶ビールもあるぞ!何がどうなってんだ?ここは楽園か?冷蔵庫の説明が終わると、次に夕朝食の一部メニューを何にするか選んでほしいと聞かれる。

優柔不断の私には選べないので、全部頂戴と思ったが、育ちが悪いとご先祖様に叱られそうなので、スタッフのオススメをお願いした。この選択させるという演出も、客を喜ばせる為の心遣いなのかと感じた。

最後に、貸切風呂が45分無料で付いてくると言うので、オススメの時間にしようと思ったが、めんどくさい客だと嫌われてしまうので、21時に予約した。しかし、今まで生きてこんなにもてなされた事があっただろうか?決して事務的ではなく、本当に心から喜んで貰いたいという気持ちが伝わってくる。なんて心遣いが上手な宿なんだ。

先程まで(ここの宿に泊まるの恥ずかしいな。)と思っていた自分をぶん殴ってやりたい。

【箱根 花紋】にすっかり心を奪われた私は、スタッフが出て行く際、両手で指ハートを見せながら見送った。ふぅ。と一息つき障子を開ける。窓から〈早雲寺〉の門が見える。

早雲寺を簡単に説明させてもらうと、1521年北条早雲の息子、氏綱によって建てられ、箱根湯本は門前町として栄えてきた。1590年豊臣秀吉軍が小田原城を攻め入る際に一時的に本営を置いたが、石垣山城(一夜城)が完成すると焼き払ってしまった。その後1627年再興された。山門左側にある古い梵鐘は、当時一夜城で使用されていた物と言われている。興味があればぜひ訪れてみていただきたい。

私も翌朝散歩してみたが、なんとなく空気感が違い、羽蟻が1000匹くらいブンブン飛んでいて、なかなか楽しかった。よしっ、と膝を叩き、浴衣に着替えてひとっ風呂浴びに行く準備を始めた。

2階に降りると男女浴場がある。脱衣所はロッカータイプではなく、籠に脱いだ物を置いておくスタイル。用心深い人用に貴重品ロッカーが用意されているが、100円玉が必要なので、使用する場合は100円玉を持っていかなければならない。

余計なお世話かも知れないが、部屋に金庫があるので、貴重品はそこに預け、必要最低限のタオルとアメニティグッズだけ持っていくのが好ましいかと思う。

脱衣場の洗面台は少々年期を感じたが、こちらも最新家電のドライヤーや化粧水や整髪料等がひと通り用意されている。

浴衣を籠に放り投げ、マナーとして、手で股間を包み隠しながら浴場へ向かう。入って左側に洗い場があるので、まず初めにそこで入念に全身を洗う。これが出来ない者は、“温泉に入る資格が無い”シャワーの水圧は若干弱いように感じたが、頭から足の指先まで、垢や汚れが湯船に入らないように丁寧に洗う。

身体を洗い終え、股間を手で包み、どんな風呂があるのかひと通り見てみようと露天風呂の方へ向かう。おっ!内風呂より外風呂の方が種類多い。

洞窟風呂や箱蒸し風呂、壺風呂など、貸切風呂を入れるとなんと10種類の風呂がある。そしてラッキーな事に先客もいないので貸切状態だ。一気にテンションが上がり、手に包まれていた股間が解放された。よっしゃ!まずは箱風呂からだ。蓋を開けると薬草の香りが蒸気と共に空へ昇る。

身体を入れ、蓋を閉め、生首の刑のように顔だけ外に出ている状態。温泉の気化熱で身体が蒸される。よし、こんなもんでいいだろう。続いて洞窟風呂に入る。薄暗い洞窟内は反響するので「おいっ、ダンカンバカヤロウ!コマネチ!」と全力でビートたけしの真似をする。これがやってみると意外と面白いので、貴方にもぜひやってもらいたい。

コマネチポーズがビシッと決まったところで次はサウナへ移動する。温度計は98℃を指していたが、若干湿度があるのでそれよりも暑く感じる。私はサウナに入ったら、必ず12分経たないと出ないマイルールがある。どんなに暑くても、どんなにクラクラしようと絶対に12分経つまでは出ないのだ。

今回も戦いを知らせるゴングが鳴った。大人6人程が入れる小さなサウナルームには壁掛けのタイマーがある。余計な体力を使わないよう、いつも通り無心で自分の股間を見つめる。ところが、あれ?股間が見当たらない。あっ、いかん。余計な事を考えるな。無心にならないと12分の壁は越えられない。気を取り直し再び股間を見つめる。…………やはり股間が見当たらない。さっきまで包んでいたのはずなのに、はて、私の股間はどこいった?キョロキョロと辺りを見渡すがどこにも落ちてないようだ。まさかと、腹を持ち上げると、チンアナゴのように奥に隠れていた。

そりゃそうだ、取れるはずがない。

と太腿をパンパン叩き爆笑してしまった。あかん。余計な体力を使ってしまった。時間が経つにつれ、毛穴という毛穴から汗が湧き出てくる。もう限界だ。頭がクラクラする。タイマーを確認すると2分を過ぎたところだった。このタイマー壊れてんのか?そうだ。壊れているに違いない。

こんなに時間が経つの遅い訳がない。倒れこむように扉を開け、近くのベンチシートに横になり身体を冷ます。私は水風呂は入らない。あれは急激に身体を冷やすので身体に良いわけないと思っている。

ぬるま湯のシャワーを浴びるか、外で沐浴して身体を徐々に冷ます方が私には合っている。風が優しく竹の葉を“サワサワサワ”と揺らすと、熱った身体が冷やされていく。身を任せるとはこういう事なのだろう。幸せな時間だ。この後は夕食か。

…………はっ!しまった!今何時だ!慌てて時計を確認しに行くと18:25を指している。あかんやん!18:30から夕食やん!自分なにしてんねん!急いで体を洗い風呂を出る。ちくしょう。髪を乾かす時間がない。………あ。そうか、乾かす髪がなかった。

鏡の前でペチンと頭を叩き、風呂場を出る。食事会場は風呂場と同じ2階なので、部屋には戻らず、肩にバスタオルを乗せたまま向かう。部屋番号を伝えると会場へ案内される。

個室部屋の扉を開けてもらうと、6畳程の部屋の真ん中には、見るからに高そうなテーブルが置かれており、その上には絵画のように綺麗に盛り付けされた料理と、還暦祝いプラン特典の赤いちゃんちゃんこと赤頭巾が用意されていた。ちゃんちゃんこに袖を通して座る。

スタッフが飲み物の確認をする。水でも良かったが、せっかくだからと自家製梅ジュースを注文すると、スタッフはマスク越しでも分かるくらい、満面の笑みを見せて喜んだ。そうなると頼んだこちらも嬉しくなるので、調子に乗ってドンドン注文したくなってしまう。おや、もしかして、これがキャバクラにハマる男心ってやつか。これはダメだ。と財布の紐を締め直す。

スタッフがお淑やかに料理を運んでくると、ひとつひとつ丁寧に説明してくれるが、田舎者の私には聞いた事がない食材ばかり。き、き、金時草浸し?なんだかよく分からないけど、どれもものすごく美味しいのは確かだ。料理を彩る器もとても綺麗なので、「どこのドン・キホーテに行けば買えるんですか?」と尋ねた所、全部オーナーが注文した拘りの物だと教えてもらった。

食器一つ一つにも手を抜かない、おもてなしのプロ魂を感じる。続いて金魚鉢が運ばれてきた。おや。金魚って食べられるのかしら?金魚の踊り食いはさすがに食べる勇気がでない。真新しい食べ物に戸惑いを感じ、ハの字に曲がった眉をスタッフに見せる。スタッフは私の反応を待っていたのだろう。クスクスと笑い出すと説明を始めた。「金魚鉢の中に入っているお野菜を網で掬い上げ、タレを付けて食べて下さい」野菜?鉢の中を覗き込むと、金魚やスーパーボールに見立てた夏野菜がぷかぷか浮かんでいる。これは面白い。涼しさを感じるし、縁日気分も味わえる。子供がいたら凄く喜ぶだろう。

大したもんだよ、蛙の小便。見上げたもんだよ、屋根やのフンドシ状態だ。浴衣の袖を捲り上げ、一頻りに金魚掬いを楽しんだ頃、スタッフが「失礼します」と改まった声で扉を開ける。数秒待つがスタッフが来ない。どうしたんだろう。と目をパチクリさせながら待っていると、忙しそうな足音と共に、両手で重たそうな大きな皿を抱え、鯛のお頭付きの活き造りを運んできた。

これを喜んでもらいたくて少々時間が掛かってしまったのか。私は拍手をしながら涙を流してしまった。涙の味か、醤油の味か分からない鯛は、身がブリンブリンとしていて、噛むと甘みが滲み出てくる。さすが魚の王様だ。ここでふと、先日助けた亀の事を思い出した。あれは確か2週間前の事だった。いつものように砂浜を1人でゴミ拾いをしていると、8歳くらいの少年3人が亀をひっくり返して喜んでいた。この亀も私と同じ様に虐められているのか。私はなけなしの500円玉を子供達に渡し、亀を助けてあげた。その後、亀はなぜか私を甲羅に乗せたがっていたが、「気持ち悪りぃからいいよ」と遠慮すると、海へ帰っていったのである。あの亀元気でやってるかな。……………あれ?そう言えば何かの話に似てる。

あっ、浦島太郎か!ここで私の中で何かが繋がった気がした。って事は、ここのオーナーは乙姫!そしてここは竜宮城!そうか、助けた亀の仕業か!だからこんなにおもてなしをされてる訳か!そうかそうかと納得した。あの時の亀、ありがとう。

写真には撮りきれなかったが、その後も赤飯が出てきたり、ステーキが出てきたり、腹がはち切れんばかりのご馳走を堪能させてもらった。締めのデザートの水羊羹とフルーツを食べ終え、パンパンに膨れ上がった腹をポンポン叩き、さてそろそろ部屋に戻ろうかという頃「お誕生日おめでとうございます」と真っ白いクリームに苺が乗った、5号サイズのホールケーキを持ってきた。メッセージプレートには“還暦祝い”と書かれている。スタッフは嬉しそうにバースデーソングを歌いはじめる。

仕事とは言え、自分だったら知らないジジイの為にここまで出来るだろうか?出来るはずがない。でも見てごらん。この子は楽しそうに歌ってくれているよ。これは現実なのだろうか?知らぬ間に死んでしまったのだろうか。この子が助けた亀なのだろうか?ここまでもてなされると逆に不安になってくる。折角だが、もうケーキが入る隙間が残ってない。

それにそろそろ貸切風呂の時間が迫っている。どうしようかと部屋をウロチョロし始めると、家に持ち帰る事は出来ないが、風呂上がりに部屋で食べて下さいと優しい言葉をいただいたので、甘えさせてもらうことにした。“おいちょ、おいちょ”となるべく腹に刺激を与えないよう、ゆっくりとアヒル歩きをしながら部屋に戻る。

すでに布団が敷かれていたので、そのまま横になってしまおうと思ったが、2度と起き上がれなくなる自信があったので、貸切風呂に行く準備をする。

準備をすると言っても用を足しただけで、肩にかけたバスタオルをそのまま連れて行く。貸切風呂は鍵が掛けられているので、その鍵を受け取りに一階のフロントまで行かなければならない。

またも“おいちょおいちょ”とゆっくりと足を進める。フロントで「貸切風呂開けてくーだーさい」と伝えると、スタッフに3階の秘密の扉を案内される。新しいタオルと、500mlの水が用意された手提げ籠を受け取り、秘密の扉を開けてもらう。貸切風呂まで続く専用の通路は行燈や間接照明で点されているので少し特別感が味わえる。貸し出し時間は45分間。これまた時間が限られているので早く風呂に入らなければならない。胃袋に詰められた豪華な食事を吐き出さないようゆっくり浴衣を脱ぎ、ゆっくり扉を開けてゆっくり歩く。

湯船は露天になっており、竹藪の上に夜空が広がっている。大人3人が体育座りで入れるくらいの長方形をしたやや小さめの風呂だが、貸切用に作られた広い空間はやはり特別感がある。大浴場ではテンションが上がりゆっくり浸かる事が出来なかったので、ここはゆっくり湯船に浸かり、日々の疲れを落とす。そう自分に言い聞かせ、少し熱めの湯に身体を沈めていく。

肩まで浸かり

はぁ。極楽

と顔を上げると、奥にブランコがある事に気がついた。

おいおいおい。こんなん見つけちゃったらゆっくり浸かれる訳ないよー

と、ぶつくさ言いながらブランコに近づく。木製型の2人掛けのブランコなので激しく漕ぐ事は出来ないが、ハンモックの様にユラユラと横になってみたり、誰も乗ってないブランコを後ろから押してみたりする。

続いて少し強めに漕いだブランコを、タイミングを見計らって下に潜り仰向けになる。ブランコが行ったり来たり腹をスッ、スッと掠めると、1人で「あぁーこえぇ!怖いよぉぉ!」と盛り上がってしまった。(なかなかスリルが合って楽しいので、貴方も是非楽しんでみて下さい。)

そんなスリルを味わっていたら45分間はあっという間に過ぎ去った。湯船に浸かってるより、ブランコの下にいる時間の方がはるかに長くなってしまった。何はともあれ、充分貸切風呂を満喫させてもらったのだ。湯船に浸からなくともこんなにリラックスできるのは【箱根 花紋】以外無いだろう。

おもてなし精神がまさかブランコの下にまであるとは思いもしなかった。よし、この後は部屋に戻り、マッサージチェアに座って全身の疲れを取ってもらおう。部屋の奥にドーンと置かれた茶色いマッサージチェア。マッサージチェアの事はよく分からないが、きっとこれも高い物なんだろう。オットマンが付いており、リクライニングさせると足まで伸ばせる。“全身”のスイッチを押すと、肩から腰に掛けて固いローラーがウィンウィン動く。たまにはこういうマッサージも良いもんだ。しかし、今日は寝るのが勿体ないな。この後何をしよう。もう一度大浴場に行ってサウナに入るか?それともこの近辺を散歩でもしてみようか?そうだ、散歩してから風呂に入ればいいか。

気がつくと朝を迎えていた。どうやらマッサージ機にあたりながらそのまま眠ってしまったようだ。時刻は午前6:00。障子を開けると朝の光が緑を照らしている。

ひとっ風呂浴びてくるか。昨日と同じ男の湯の暖簾を潜り、はだけている浴衣を脱ぐ。軽く身体を流し外へ出ると、露天風呂の水面は朝日が反射してキラキラと眩しい。朝はテンションの低い私は、洞窟風呂へは行かず、そのまま湯船に浸かった。朝も誰もいない。

【箱根 花紋】に宿泊客はいるのか?そういえば夕食の時もあまり人を見かけなかった。いくら平日の金曜日だからと言って、もう少し人が居ても良さそうだけどな。

それもそのはず、【箱根 花紋】は16部屋しかなく。そのうちの6部屋には露天風呂が付いているので、わざわざ大浴場まで来る人が少ないのかも知れない。

そのおかげでこうして大浴場を独り占めし、朝から贅沢をさせて貰ってる訳だ。少し目が覚めてきた、打たせ湯に移動し、頭から湯を浴びる。細い筒から落ちてくる温泉がペチペチペチペチと薄い頭皮を刺激する。胸の前で手を合わせ

なんみょーほーれんげーきょーなんみょーほーれんげーきょーお願いします!お願いします!髪の毛生やして下さい!お願いします

と神に叫んだ。時々針に刺されたような痛みを感じると

あぁ!早速ご利益ですか?ありがたや〜ありがたや〜

と更に神に感謝した。

朝からこんなに大声を出したのはいつぶりだろう。あっ、そういえば部屋にケーキあったの忘れてた!忘れる前に食べないと。ヘッドスパを切り上げ、ほんのりピンク色に染まった頭皮にバスタオルを被せ部屋に戻る。冷蔵庫を開けると切り分けられたケーキが入っていた。どこにでも売っていそうなケーキだが、朝風呂後のケーキは格別に美味い。

今後朝活の一環としてケーキを取り入れていこうと思う。ケーキを食べ終えた後はまだやるべき事が残っている。そう。散歩だ。一階の受付に行くとスタッフが居たので、履き物を借りて外に出た。

知らない土地を歩くのはディズニーランドに来たワクワク感と似て楽しい。目の前の早雲寺に入り、北条五代の墓まで行き、「北条五代さんってだれぇぇえ?」と疑問をぶつけて帰ってきた。8:00から朝食の時間なので、今度は遅刻しないよう会場へ入る。昨夜と同じスタッフに昨夜と同じ部屋に案内されると、既に朝食は用意されていた。しかし、宿で働いてる方達っていつ寝ているのだろう。

私が寝る頃に退勤して、私が起きる前には出勤してるのか?それとも夜通し働いて、昼間寝ているのだろうか?いずれにしても頭が下がる。スタッフの方達のお陰でこんなに贅沢な時間を過ごさせていただいている。感謝とありがとうございますの最上級の言葉を伝えたい。

朝食は湯豆腐やネバネバ丼、他にも豪勢な食事が並んでいる。焼きたての鮭の塩焼きは、かなり肉厚で脂も乗っていて、程よい塩味と脂のジューシーな甘みが米の旨さを際立ててくれるので箸が加速する。おひつに米が無くなったので強制ゲームセットだ。朝からお腹がパンパンで動けない。

その後部屋でゴロゴロし、冷蔵庫に残っていた飲み物をひと通り飲み干して、11:00になったのでチェックアウト。1階のラウンジにはすでに何組かチェックアウトの手続きを始めていた。結構人いたんだ。

こんなに人居たのに全然会わなかったな。もしかして、これも人と極力接しない様に過ごさせる為の気配りをしていたのか?だとしたら、すごい!凄すぎるぞ!私の心は完全に【箱根 花紋】に掴まれてしまった。またお金貯めて来よう。

7年後くらいになってしまうかもしれないが、絶対にまた来る事を決意した。

平日【花紋お祝いプラン】一泊約40.000円。

NOPLANNERにはベラボウに高い金額だが、箱根周辺の宿の相場と、細かい所まで気配りの行き届いた極上のサービスをしていただいて40.000円は安いと思った。帰る時にリムジンが停まっていたので、「どこかの権力者でも泊まりにきているんですか?」と聞いた所、〈rocca〉というプランを選ぶと、駅までリムジンで送迎してくれるサービスがあるので、それで使用していると教えてもらった。そうなると、次は〈rocca〉に泊まりたくなってくる。そろそろ現実に戻る時間だ。

車に荷物を積み込んでもらい宿を出発する。スタッフの方達は見えなくなるまで手を振っていた。大切な人を喜ばせたいと思ったら【箱根 花紋】きっと大切な人も喜ぶはず。

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箱根 花紋
所在地〒250-0311 神奈川県足柄下郡箱根町湯本435
電話番号046-085-5050
WEBサイトhttps://www.hakone-kamon.jp/
チェックイン14:00
チェックアウト11:00
駐車場無料
アクセス箱根湯本駅から無料送迎バスあり

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