東京都・あきる野市【秋川国際マス釣場 つり場食堂】これは珍しい!鱒の蒲焼?ってどんな味?

つり場食堂
総合評価
( 4 )

7月下旬ともなると、連日体温を超える暑い日が続く。こうも暑いと外に出るのも億劫になるが、家の中でクーラーばかり浴びていても身体に良くないだろうと思い、少しでも暑さを避けられる場所、避暑地へ行こうと思い立った。関東近郊で避暑地として思いつく場所は、栃木県にある那須や長野県の軽井沢くらいだ。

都心から向かうにはどちらも日帰りで行くには遠すぎるので、近場でないものか?とGooglemapを開いてみると、西東京に位置するあきる野市が良さそうだと指が止まる。画面いっぱいにピンチアウトし、どこか面白そうな場所はないか?と“シュッシュ“人差し指でジャブを打っていると、川沿いに一軒、コスパの良さそうな店を発見した。大急ぎで身支度を済ませ車に乗り込むと、車内はムンムンと熱が篭っており、まさに蒸し風呂状態。

息を吸い込むと肺まで熱が伝わり、毛穴という毛穴から湧水のように汗が出てくる。エンジンをかけ、冷房をMAXにし、窓を全開にしながら3分くらい車を走らせる。こうすると車内に篭った熱が早く逃げるので貴方にもオススメさせていただく。

ハンドルやシフトノブの“チンチン“に温められた熱の冷まし方は分からないので、とりあえずこちらは我慢するのがオススメだ。もし貴方が良い方法をご存知であれば〈LINE〉もしくは〈Instagram〉で教えて下さいm(._.)m

途中渋滞にハマりながらもなんとか目的地に辿り着いた。

今回紹介させていただくのは【秋川国際マス釣場 つり場食堂】店先に駐車場は無いが、150mくらい先に進むと右手側に広い駐車場(普通車500円、バイク200円)があるのでそこを利用する。

車を降りると都心部とさほど変わらない暑さが身体を包む。がっかりだ。時間と交通費の無駄だ。ここまで来た意味よ。こんな事なら大人しく、家でガリガリ君でも食べながらクーラーをガンガン効せた部屋に篭っていた方がマシだった。とは言え、ここまで来てしまったのにこのまま家に帰ったらcrazyboyになってしまう。

とりあえず昼食だけ食べて帰ろう。自分を納得させる為にはそれ以外選択肢が見つからなかった。駐車場から舗装された緩やかな小道を下り【つり場食堂】へ向かう。坂を下ると養沢川という細い川に出る。川底まで水は青く透き通り、流れも速い。

見るからに水は冷たそうだ。小道は川沿いにずっと続いているが、水温を確かめたくなったので、小道から川に続く階段を下り、ゴロゴロと転がる石の足場に注意しながら水辺へ向かった。右手にスマホ、左手にカブトムシ。しまった。ここでどちらかを手放さないと水温が確認出来ない事に気が付いた。

カブトムシは、先程階段を降りる手前の木にしがみついていたので、記念に持って帰ろうと捕獲し、名前はすでに〈カブ吉〉と付けたばかり。手放す事は出来ない。ではスマホを仕舞えばいいじゃん。と思う所だが、綺麗な川に手を入れる所を動画で収めたいので仕舞う事は出来ない。ならば川に顔面を沈めればいいのか?いや、ダメだ。タオルが無いし、それに万が一そんな姿を誰かに見られてしまったら本当にcrazyboyになってしまう。そうなると、カブ吉を一瞬川に沈めれるしかないか。……いやいやいや、そんな酷い事をカブ吉に出来るはずがない。

葛藤すること5分。カブ吉はまだかまだかと急かす様に6本脚をジタバタさせている。私はカブ吉とお別れをする事となった。一旦、カブ吉には待っててもらおうと、左胸辺りにカブ吉を置いた瞬間に、背中がパカッと開きそのまま「ぶぅぅぅぅん」と空高く飛び立っていってしまった。

一瞬の出来事に驚いた私は、小さな体が見えなくなるまで見届ける事しか出来なかった。幸も不幸か左手が空いてしまったので、川の中腹にある岩場まで行き、腰を下ろし手を突っ込む。水は「くぅぅぅ!!つっめてぇぇぇ!!!」という訳でもなく、摂氏23度くらいだろう。家庭の水道水とさほど変わらない温度だった。

涼しくもなく、冷たくもないこの場所で、残された希望は食事のみとなった。小道に戻り【つり場食堂】を目指す。下流に向かうにつれ、マス釣りを楽しんでいる人達が増えてきた。こんな場所でおじさん1人プラプラしているのは異様なのか、皆の視線が突き刺さる。恥ずかしさのあまり反対側に顔を背けるとBBQスペースがある。

釣ったマスをその場で焼いて食べられるらしい。大切な人達とワイワイやりながら釣ったマスを捌いてその場で焼いて食べる。想像しただけで楽しいので、次回はそれを計画することに決めた。【つり場食堂】に到着すると、左隣に同じような作りの釣り堀の受付場がある。

ついでに金額を確認しておいた方がいいと思い、表に出ている料金表を確認すると、貴族の遊びだと言うことを知らされたので、先程の計画はすぐに白紙に戻された。値段が知りたい貴方のためにURL貼っておきました〈akigawagyokyo.or.jp 〉なんだか今日は想定外の事ばかりだなと思いつつ、【つり場食堂】の扉を開ける。扉を閉めて少し待ってもスタッフが見えなかったので、これは夢か幻か?と思い自分の頬を一度思いっきり引っ叩いてみたが確かに痛い。しかし「バチン」と音に気付いてくれたのか、奥から少し背中が丸まった70代後半頃のお姉さんが現れ「はいはい、いらっしゃいませ〜」と言うとカウンター奥へ消えて行った。

その後、音沙汰が無かったので、今度はタヌキに化かされているのか?と思い辺りを見回すと、小さな券売機を発見する。なんだ、セルフ方式だったか。安堵した私はジンジンする右頬を抑えながら、小さな券売機の前で小さなメニュー表に目を通す。

特別限定メニューNO10マス重1100円、NO12塩焼き定食800円、NO14カレーライス600円…………と、番号が飛び飛びで書かれている。別紙でNO1から書かれているメニュー表があるのかと思い、カウンターの天板裏や天井、発券機の裏、便器の蓋の裏、自販機の釣銭口の中、こんな場所にいるはずもないのに……と探したが結局見つける事は出来なかった。

他のメニューが気になる所だが、無いものは諦めて再度小さなメニュー表の中から選ぶことにした。NO17カルビ丼、NO18牛丼、一つ飛ばしてNO20豚生姜焼き丼の3種は500円で食べられるらしい。

コスパの良さそうな食べ物を発見したので思わず指先が震えたが、グッと堪えてオススメのマス重NO10を発券した。券売機横の受付場から先ほどのお姉さんを呼び券を渡すと「はいは〜い。お待ちくださ〜い」と言われたのでその場で待つが、またもや放置プレイだ。

1〜2分待った頃だろう、(あっ、席で待てばいいのね)と気付いた私は、悟られぬように壁のポスターに興味があるフリをしながら奥へ進んだ。

L字型に作られた店内は窓際に8人掛けのテーブルが3列並ばれている。私は手前の窓際の席に腰を掛け、右手に見える窓の景色を眺めながら料理が出来るのを待つ事にした。

エアコンはあるが、壊れているのか役目を果たしていない。代わりの扇風機が左右に首を振ってフル稼働されているが、気休めにもならないほど暑い。座っているだけでも汗が出てくるので来店する際は、冷えピタや携帯扇風機等の持参必須だ。

窓からマス釣りを楽しんでいる人達が見える。この人達はわざわざ高い金を払って自分達で魚を釣らされ、更に追加料金を払って自分達で釣った鱒を調理させられてから食べている。

私は釣ってもらった鱒を、調理してもらって食べるだけ。ただ待ってればいいだけな状態なのに何でこんなに安いんだ?こっちの方が断然コスパいいじゃないか!そんな疑問を感じる今日この頃。

「マス重の方〜」と呼ばれたので「はい!」と大きな返事をし、お姉さんから料理を受け取り席に戻る。これは想像していたよりも良い。

本日初めて良い想定外に出会えたので心の中でお尻をフリフリ振った。重箱に入ったマスの蒲焼、味噌汁、ミニサラダ、漬物。蒲焼の甘辛いタレの香りが鼻に抜ける。この香りだけでも美味い。それではいただきます。

まずは鱒に箸をかけ、一口サイズに切り取った後口にINだ。なるほど。鱒は一度竜田揚げのように薄く衣をつけ、軽く揚げてからタレを染み込ませ焼いているのだろう。

口に入れると、衣から染み出た甘辛いタレの味が口に広がるが、そして噛んでいくと鱒のタンパクな味と甘辛いタレが混ざる。うなぎとは違い、食感がしっかりあるのでどんどん噛んでいくと甘辛いタレより鱒の味が強くなってきて、飲み込む頃には鱒の味の方を強く感じる。

これは新しい。どちらかと言うと秋刀魚の蒲焼に近いが、あそこまで独特のクセがないので食べやすい。これは貴重な食事をいただいた。マス重がいただけるのは恐らく【つり場食堂】だけだろう。貴方も大切な人と一緒に珍しく、そしてコスパの良いマス重を食べに来てはいかがだろう。

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